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医療行政に立ちはだかる壁

いつも健康で過ごしていると、医療とは無縁のような気がするものである。ところが、家族という単位で考えると、いろいろな心配事や、問題点が浮かび上がってくる。季節柄、子供が熱を出したとか、家族の誰かが風邪気味だとか、そろそろ花粉症が出てきたみたいだとか、健康診断で指摘された血圧や尿酸値、肝機能が気になる、さらには故郷に住む両親の高齢化が気がかりになってきたりもする。ここ最近は病気の予防に関心がある人が意外に多いと聞く。

さまざまな問題点を抱えている医療業界だが、わが国の医療行政は、大きな曲がり角にきている。高齢者の増加に伴い医療費の出費が、年々増加の一途を辿っているのだ。そして、国や地方自治体の財政を圧迫している。さらに、健康保険の運営も思わしくない状態に陥っている。

さらに、注目すべき大きな問題点は、社会自体がかなり複雑になり、個人個人の希望する医療のあり方が多様化してきていることである。医療行政もそのニーズに合わせていく必要がある。ところが、医療は即「命に直結」しているだけに、制度を改革しようとすると、必ず感情的な反発が生じる。誰しも経験したことがあるだけに、勢い直感的な感情論のぶつかり合いが起こってしまうのだろう。

制度改革を押し進める上で、より本質的な問題点を掘り起こし、感情論に左右されることなく、客観的に問題解決にあたるべきだろう。確実に到来する少子高齢化に荒波は待ってはくれないのだから。